尿路に細菌が入ることで炎症を起こした状態を尿路感染症と言い、多くは尿道から逆行性に感染し、膀胱に達すれば膀胱炎を起こし、さらに膀胱の細菌が尿管を上に登って腎盂に達すると腎盂腎炎を起こします。腎盂腎炎の場合は高熱、腰背部の痛みを生じます。
治療には、細菌を殺す抗菌薬が投与されます。治療が効くと、症状は3日ほどでよくなります。しっかりと適切な治療を行えば癖になるということはありません。繰り返すようであれば他に原因がある可能性があります。
腎臓の実質から発生するガンで下に記載される尿路から発生する腎盂ガンとは治療法も異なります。以前は血尿や腹部腫瘤を主症状としましたが最近は健康診断や、他科で行った腹部超音波やCT検査で偶然に見つかるという事が多くなっています。
また肺、脳、骨に転移したガンが先に見つかり、結果として腎細胞ガンが原因として見つかる事も少なくありません。腎細胞ガンの標準治療は手術(腎摘除術)ですが、発見時に既にガンが拡がっていたり転移がある場合は薬物治療が選択されます。
膀胱ガンと同様に痛みなどの症状を伴わない血尿(無症候性血尿)を認めることが多く、また腰背部痛の精査で見つかる事もあります。検査は膀胱ガンと同様に尿細胞診やCT、MRIなどの画像検査、膀胱内病変の有無を確認するための膀胱鏡検査が行われます。治療は手術療法(腎尿管全摘除術)、化学療法です。
膀胱ガンは、痛みなどの症状を伴わない血尿(無症候性血尿)を初発症状とすることが多く、尿にがん細胞が出現しているかを調べる尿細胞診検査は侵襲もなく有効な検査です。次いで超音波検査で腫瘍を確認すれば確定診断として膀胱鏡検査を行います。病気の拡がりや転移の有無を確認するためにCT、MRIも行われます。
膀胱がんは外科的治療が必要で麻酔をかけ内視鏡下に電気メスで切除する手術(経尿道的膀胱腫瘍切除術)が行われます。浸潤癌と診断されればより拡大した治療(膀胱全摘除術、放射線治療、化学療法)が必要となります。また表在性ガンであっても膀胱内に再発しやすいという特徴があります。
陰茎に発生するガンであり、包茎に合併してみられることが多いですが最近はヒトパピローマウィルス感染の関与が示唆されております。亀頭部や包皮に腫瘤を形成するものや潰瘍を示す事が多いですが、難治性の湿疹や発赤でガンが見つかることもあります。治療は手術、放射線、化学療法です。
精巣にある細胞から発生し、10万人に1人程度の稀な腫瘍で、発症のピークは二つあり、5歳以下の小児と20歳後半から30歳代の若年者に多く認められる腫瘍です。また停留精巣があると発症のリスクが上がります。症状は無痛性の精巣の腫大(腫れ)や硬さの変化です。短期間で肺やリンパ節へ転移することが知られています。
診断には触診、採血(腫瘍マーカー)、超音波検査が行われ、腫瘍が疑われればCT検査で転移の有無を調べます。治療は患側の精巣摘除術を行います。精巣腫瘍は多彩な組織型を有しており病理組織学検査で組織型を確定します。組織型や病期によっては化学療法が追加されます。
結石の存在部位によって腎結石、尿管結石、膀胱結石と呼ばれます。腎臓内の結石は痛みを伴わない事が多いのですが、結石が細い尿管に落下して、尿路を閉塞することで血尿、痛みが出現します。痛みは突然に起き激痛となることが多く、吐き気や嘔吐をともなうこともあります。
結石の診断がついたら、まず痛みを抑えてその後、結石の大きさや位置を検討します。結石が小さい場合は薬物治療で自然排石が期待できますが、大きな結石および自然排石が不可能と考えられる結石は、体外衝撃波結石破砕手術(ESWL)やレーザー砕石器などによる内視鏡手術の適応となります。
膀胱には貯める機能と排出する機能があり、膀胱と尿道がうまく協調運動が行えることで正常に機能しています。これらを働かせるためには、命令を伝える神経がしっかりしていないとうまくいきません。
この神経が、脳梗塞、パーキンソン病、子宮がんや直腸がん手術の後遺症などにより障害を起こしたり、けが(脊髄損傷など)をしたりして神経障害を起こしたりして、排尿がうまく出来なくなった状態を神経因性膀胱と言います。放置すると尿路感染や腎機能障害などを引き起こすことも少なくありません。
性行為感染症は、文字通り性行為によって感染を起こす病気の総称です。
以前は性風俗店などでの不衛生な性行為による感染が多かったのですが、最近は、傾向として不特定のセックスパートナーとの性交渉やオーラルセックスだけでも感染するなど広まりを見せています。
また、風邪のように喉が痛い(咽頭炎)などの症状で性感染症が発見されるケースも見られるようになり病状は多様化しています。
代表的な性感染症は、淋病、クラミジア感染症(非淋菌性尿道炎)、梅毒、性器ヘルペス、尖圭コンジローマ、カンジダによる包皮炎、毛ジラミ症、エイズなどです。思い当たる節のある方や、パートナーが性感染症にかかっている方は早めに専門医の検査と適切な治療を受けることが早期治癒への大事な一歩です。
幼児期を過ぎても夜間、睡眠中に無意識に排尿することを夜尿と言います。幼児期は「おねしょ」と呼ぶことが多いのですが、5~6歳を過ぎた頃からは「夜尿症」として診療の対象とします。女の子に比べ男の子に多く、5歳で15~20%、10歳で5~10%に、15歳で1~2%ぐらいに見られ、ご両親が気にされ来院されるケースが多いですが、本人も人知れず悩み、自信を無くしていることも少なくありません。
夜尿症のお子さんは眠りが深く、夜間に尿意で起きることはないと言ってよい状態です。夜尿の原因として基本的には夜間尿量と膀胱容量のバランスが問題となってきます。すなわち、夜、寝ている間のおしっこの量が普通より多すぎるか、夜、寝ている間に膀胱に貯められるおしっこの量が普通より少なすぎるか、あるいはその両方ということです。
成長に伴い頻度は減ってきますが、治療としては、夜間尿量を減らすこと、および夜間膀胱容量を増やすこと、ということになります。前者には、水分摂取量や摂取時間の見直し、抗利尿ホルモンの投与、後者には、夜尿アラーム、抗コリン剤などが有効です。
※夜尿アラーム:おねしょを知らせるブザーで、尿が出ると「ピッ、ピッ」という電子音で知らせる装置です。
1:焦らず 2:怒らず 3:起こさず
たんぱく尿の原因としては、急性腎炎や慢性腎炎などの腎臓に限局した病気と、糖尿病、膠原病、高血圧など全身の病気の一部として腎臓に障害が起きる場合があります。その多くは内科的治療が必要となりますので腎臓内科へ紹介させていただくことになります。